子どもたちの未来と学び
■どんな社会が待ち受けているのか
AIや機械が人間の仕事を奪っていくという現実がもう身近なところで起こっています。セルフレジの導入や銀行の窓口業務のオンライン化などはわかりやすい事例ですが今はまだ環境がある程度決まった条件での反復作業に限られています。
しかし、AI関連の進歩は目覚ましいものがあり、コンビニは無人化するでしょうし、自動運転が実現すればドライバーはいらなくなります。親世代の常識が全く通用しない社会に変わろうとしているのです。
そのような社会を生きることになる子どもたちにはどんな力が必要となってくるかという話をしたいと思います。
■Society5.0
Society5.0とは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と内閣府の第五期科学技術基本計画にて、定義されています。
Society5.0は、IoTやAI、ビッグデータなどの最新技術をあらゆる社会や産業に取り入れて実現する未来社会の形です。
社会の変遷
- Society 1.0(狩猟社会)人が狩りをして生活する社会
- Society 2.0(農耕社会)田畑を耕すなど食糧を育てて収穫することで安定した生活をする社会
- Society 3.0(工業社会)機械によって規格品を大量生産するなど工業化が進んだ社会
- Society 4.0(情報社会)インターネットの普及により情報の伝達や処理が経済の中心となった社会
- Society 5.0(超スマート社会)仮想空間と現実社会を高度に融合したシステムで発展する社会
従来のSociety4.0(情報社会)では、情報や知識の共有が不十分で、ほか分野にとの連携がうまく図れないという課題がありましたそのため膨大な情報から必要な情報を抽出して分析する作業に大きな負担があったり、ハードウェアを扱いこなせるかで生産性に格差が生じていました。
これら課題解決のため、超スマート社会としてSociety5.0が提唱されました。超スマート社会とは、さまざまなニーズに対応しながらすべての人に質の高いサービスを提供して、年齢や性別、地域や言語といった障壁を乗り越えて誰もが活躍できる社会のことです。
英語を話せなくても海外の有名なコーチにスポーツの指導を依頼できたり、1人1台のコンシュルジュロボットがその人の嗜好にあった商品を最適な料金プランを最適な時期に提案してくれたり、確定申告なんてすべてがデータ化されて何もしなくてもしっかり税金が持っていかれたり(笑)
といった社会を想像してみてください。知識や能力による障壁が小さくなるということは誰にとってもやさしい社会になる、と考えられています。
これからの教育
さて、そんな社会に求められる人物とは?を考えることがこれからの教育の方向性を決める上で大切なこととなってきます。知識やデータの詰め込みや計算の正確性でないことは想像がつくと思います。
Society5.0のような超スマート社会の実現に向けて重要なのは人材の育成ですが、文部科学省はSociety5.0に向けた新時代の学びとして「学校3.0」を2018年6月に発表しました。この中で、AIやIoTに取って代わることのできない人間ならではの能力として、
- 文章や情報を正確に読み解き対話する力
- 科学的に思考・吟味し活用する力
- 価値を見つけ出す感性と力
- 好奇心・探求心の育成
といった項目が挙げられており、現在の学校制度では対応が難しいという点も言及されています。
学校制度の変遷
■学校Ver.1.0
Society3.0「工業社会」における教育。
知識を正確に記憶する基礎学力、忍耐強さ、計画を着実にこなす正確さが重視された。
■学校Ver.2.0
Society4.0「情報社会」は「学習の時代」。
能動的な学び手を育成するために主体的・対話的な学びを重視。
知識から能力重視のカリキュラム体系に。
■学校Ver.3.0
Society5.0「超スマート社会」は「学びの時代」へ。
教育ビッグデータを収集・分析して「個別最適化された学び」を提供する。
学習者は学校だけではなく社会や地域、大学など様々なリソースから
主体的にプログラムを選択して学び、学習成果は学びのポートフォリオとして蓄積する。
教育の変革期における学研教室の強み
実はこうした超スマート化社会に必要とされる力は学研教室が創業当初から重要視していた力でもあります。
- 算数国語の並行学習で基礎学力の定着
- 読解力を学習の基盤とする教材と指導システム
- 一斉一律ではなく学年にこだわらない個別学習
といった「個別最適化された学び」を以前より提供してきました。
単に成績を上げるだけの学習指導の場ではなく、子どもたちが主体的に学び社会性を身につける場としての役割も担ってきたのです。そういう意味では時代がようやく学研教室に追いついてきたといっても過言ではありません。今後も学校教育と足並みを揃えながらも時代の変化に左右されない『生きる力』を皆様にお届けすることが学研教室の使命と考えています。
一方で、AIやICTを活用した教材との連携や『明日の学力診断』のような学力ではなく能力を評価できるアセスメントなど次世代につながる学習環境の充実が計画されています。
そして、これからの指導者に求められるのは、AIによる学習管理では評価が難しいとされている
子どもたちの特性、学習への意欲といった心の状態や非認知能力の成長をしっかりと読み取り、子どもたちの心を支えとなるメンターとしての存在となることと考えています。
それができるのも、幼児から中学生まで最長で12年間と長期間に渡って子どもたちの成長を見守ることができる学研教室だからこそではないでしょうか。これからも学研教室にどうぞご期待ください。