前ページでは読解力向上のためにはまず『熟読』が必要というお話をしました。今回は国語の学習全体的なお話をします。
国語の学習で求められる力
国語という教科で求められる力は、簡単にすると「読む力」と「答える力」になります。
「そりゃそうだ」という声が聞こえてきそうですが、問題ばかりこなしている学習では、案外と見失ってしまいがちなテーマだと思います。
では、その2つの力を細分化してみましょう。
読む力とは
【語彙力】~漢字の学習・言葉の意味・慣用句・ことわざ・類義語・対義語
【文章構造を把握する力】~文のきまり(文法)・(段落ごとの)要旨を捉える
【読む速さ】~文章をしっかり嚙み砕いて飲み込むまでの速さ
【想像力】~文章の情景を頭の中でイメージしたり、相関関係を整理する力
【一般常識】~ 日常生活における物事の道理やマナーに関する知識
「大切な物を盗まれたら【普通は】悲しみや怒りを感じる。」という【普通は】という感覚など。
答える力
【問題パターンと解答方法の理解】~問題に対してどう答えるのが正解かを知っておく
【情報処理能力】~読み取った情報を整理し、質問に合う形へ変換する力
【文章表現力】~基本作文、ことばの言い換え・添加・省略する力
この中で、読書で得られる力は、語彙力と想像力、読む速さくらいでしょうか。
ただし「読む速さ」は、前にも言ったとおり『速読』ではなく『熟読』できるスピードを上げることなので、読書が逆効果となる場合もあります。
学校での国語の授業はというと
小学生については、特に学校が重視しているのは「読む力」です。特に低学年では国語の授業が時間割の3割(週7~8時限)を占めます。
読むことができないと教科書に書いてあることが理解できないので 当然といえば当然ですね。
中学生になっても、文章のレベルが難しくなりますが授業の進め方はおおむね似たような感じです。
さて、国語力とは何かを意識して私たちが学校での受けた授業を思い出してみると、
バランス良く読む力、表現力、文のきまりを教えてもらったということに気づくことができるはずです。
ただ、学校の国語の授業だけでは難しい分野もあります。
語彙力・想像力・一般常識そして問題パターンと答え方です。
授業形式では難しい一面がある。
「はい、みんなで読みましょう。」
「では「この〇〇」の「この」は何をさしているでしょう。はい、○○さん」
「△△です。」
「そうですね。」
…よくわからなくても、「あ~そうなんだ~」で授業は進んでいきます。
「もっと力をつけてあげたいのに…」と学校の先生が一番もどかしく感じるところだと思います。
また進学塾となると文章のレベルは上がってもやっていることは一緒。宿題でやってきたプリントの答え合わせをやりながら・・・
「はい、問1の答えアだと思う人~?いないか~?イだと思う人~?・・・」
「イが一番多かったね」
「問題文のここに同じ内容がかいてあるので答えはイですね~」
「はい次の問題~」
これではその場限りの問題の解説をしているだけで、どんな文章でも対応できる解き方を指導していることにはなりません。(ちゃんと教えてくれる塾もありますが、とにかく問題量をこなすことで子どもをやった気にさせる、そして親を満足させる危険な進学塾も未だに存在します)
理想としては、言葉の知識、文法などの説明については集団授業でより多くの情報を取り入れ
熟読する力、的確に答える力を個別で本人が納得するまで指導を受けるのが国語では有効だと思います。
次ページからは具体的な方法について説明していきます。